エネルギーの未来

開催日時:平成31年2月16日
開催場所:ジョンブルプライベートラボ

【話し手】
田中将吾(経済産業省 資源エネルギー庁 長官官房 総務課 戦略企画室長)
「ローカルグリッド 2050年の日本のエネルギーを考える」

廣本悦子(認定NPO法人おかやまエネルギーの未来を考える会 会長)
「岡山での草の根活動 その思いと未来シナリオ」

【聞き手】
枝廣淳子(環境ジャーナリスト)

【進行】
青江整一(くらしのたね/ミナモト建築工房代表)

●青江/このシンポジウムは北長瀬エリア周辺の再開発が始まったことをきっかけに、行政だけじゃなく市民も意見を出して、自分たちが住みやすい街づくりができたら、という思いで始めました。第1回目は岡山の7月豪雨の後ですね。「地域防災」というテーマで開催しました。「いかに孤立を防ぐか」といった話など、コミュニティについて考えました。

2回目は「小商い」。地域内で経済を循環させる仕組みや、お互いの顔が見える関係性づくりといった話をしました。3回目が「里まちぐらし」ということで、グリーンインフラ、グリーンライフ、パーマカルチャーといった言葉をみなさんと勉強しながら、住環境についての話をしました。

今回の4回目は、「エネルギーの未来」というテーマで進めていきます。私たちの地域が、エネルギーにおいても持続可能であるにはどうしたらいいかというのを、二人のゲストをお招きして考えていきます。

まず最初にお話ししてもらうのは廣本さん。NPOで20年、環境活動を続けてこられました。2人目のゲストが田中さん。田中さんは経済産業省でエネルギー情勢懇談会、2050年の日本のエネルギーを考えるというところで、取りまとめをされいます。今回の資料に、エネルギー情勢懇談会の提言書というのをプリントアウトしていますので、詳細はそのあたりを見てもらいながら、田中さんの生のお話を聞けたらと思います。

全4回を通して聞き手役で来ていただいているのが枝廣淳子さん。枝廣さんは環境ジャーナリストとして活躍されていて、地方創生とか地域経済、そういった活動で今、注目されています。ここから先は枝廣先生にバトンタッチして、進行していきたいと思います。よろしくお願いします。

●枝廣さん/みなさんこんにちは。今回は「エネルギー」というテーマでシンポジウムを開いていきたいと思います。日本では報道されていないんですが、昨日2月15日、イギリスの30以上の都市で中学生と高校生が、学校へ行くのをストライキして、何千人もの人たちがデモをしました。「温暖化に対してちゃんと対応してくれ」というデモでした。

温暖化の話をすると、先進国と途上国で差があっちゃいけないよね、みたいな話もあるけど、世代というのも大きな課題なんですね。私たちの世代がどういうことをするか、もしくは何もしないか、それによって次の世代が温暖化の影響を大きく受けたり、その影響が少なくて済んだりする。

この動きは、もともとは去年の8月にスウェーデンの16歳の女の子が一人で始めたんです。温暖化に対して、大人はちゃんとしっかりやるべきだというので、国会議事堂の前で座り込みを始めたという、そういう女の子がいるんですが、それをきっかけにして、今ヨーロッパでそういう動きが広まっています。

温暖化の問題は、今日のテーマであるエネルギーと表裏一体です。なんで温暖化が進んでいるか、日本ではCO2がほとんどですが、それは私たちがエネルギーを使うところから出てるものです。例えば化石燃料を燃やした電気を使う、もしくはガソリン車で走る、それは温暖化に繋がっているわけですね。

【エネルギーの話は様々な分野に関係がある】

今日のテーマ「エネルギー」、これはすべてに関して繋がっているもので、温暖化もそうですし、1回目の防災、これもエネルギーと非常に繋がりがあります。何か災害が起こったときにエネルギーが切れてしまっては困りますよね。そのときどうしたらよいか。

9月に北海道で地震があって、ブラックアウトがありました。私はたまたまそのときに北海道にいてブラックアウトを体験しましたが、そういった災害が起こっても地域でエネルギーが使い続けられるようにするにはどうしたらいいか。地域防災の観点からもエネルギーというのは鍵です。

それから、地元の経済にとってもエネルギーというのは鍵です。今どの地域でも日本の場合は、中東から来る化石燃料に頼っている。そうすると私たちが、それが事業所であれ市民であれ、払っているエネルギー代金というのは、中東へ流れていってます。

もし地域でエネルギーを作ることができれば、地域のお金として地域の中でまわすことができる。なので、今日のエネルギーの話、単にエネルギ―だけではなくて防災にも繋がっているし、経済にも繋がっているし、そして温暖化へも繋がっています。街づくりを考えていく上で、ここは鍵だと思っています。

【自然エネルギーの導入拡大をめざす】

●廣本さん/みなさんこんにちは。今日はこのような場にお招きいただいて本当にありがとうございます。私たちの活動と、それから活動を通して感じていることを、みなさんにお話ししたいと思っています。

私たちのエネミラ(おかやまエネルギーの未来を考える会)という団体なんですけども、設立したのは2000年です。1997年、COP3のときに温暖化の問題がこれから大変なことになるということを知り、何かできることをしたいと考えたのがきっかけでした。

主婦10数名が集まって、私たちで何かやりたいねっていうのが始まりだったんですけども、その後、初めて講演会をしたときに、環境エネルギー政策研究所の飯田哲也さんに来ていただきました。そのときにとてもたくさんの人が来てくださって、その中で会員になってくださる方を募り、60名くらいが参加して、会員制の組織として再スタートしました。

2002年にNPO法人の認証を受けまして、2010年には岡山県で初めてだったんですけども、認定NPO法人の認定を受けました。そうした経過がありまして、現在の会員数は100名です。

「自然エネルギーの導入促進」が、私たちのいちばんやっていきたいことです。その中で、例えば市民共同発電所というのをやってます。また、ペレットストーブの普及啓発活動もしています。それから、木質バイオマスエネルギーや小水力発電の可能性の調査と導入拡大。自然エネルギー、省エネの普及啓発活動などをやっています。また、自治体の審議会に呼んでいただくこともありまして、そういうところへ出て意見を言わせていただいたりしています。

【市民共同発電所(太陽光発電)を計11基設置】

エネミラの市民共同発電所は、2002年に岡山市の公共施設に設置をしていただきまして、それが始まりで、2013年までに5つの発電所を設置しました。公共の施設に市民が屋根を借りて設置するというのは、全国で初めての例ということでした。

これは2009年に「新エネ百選」に選ばれました。「新エネ百選」に選ばれるのはほとんどが行政や企業という中で、NPO法人はうちだけだったかなと思っています。その後、岡山市だけでなくて他のところでもさせていただきたいなということで、環境モデル都市として有名な西粟倉村に設置をさせていただきました。

もう一つ、児島の市民交流センターというところに設置をさせていただいております。それ以外は岡山市でやってるんですけども、市民共同発電事業というものが、岡山県や岡山市の温暖化防止の政策になっています。

全部で11基設置しましたが、2002年に設置をした中山保育園、そこは法定耐用年数が15年ということで、15年経ったら市に譲渡するという約束になっておりましたので、昨年の3月に岡山市に無償で譲渡させていただいて、今現在私たちが所有しているのは10基ということになっています。総額8000万円くらいかかりましたが、そのうちの5000万円くらいは銀行とか市民ファンドとか疑似私募債という形でみなさんからお金を借りてやってまいりました。

【自然エネルギー啓発活動】

それ以外のところでは、自然エネルギーが最近でこそ広まってきたんですけど、そのころはなかなかご理解のなかった時期だったので、まず普及啓発をしましょうということで、学校の出前授業とか、そういうことをさせていただいています。

いろんな機材を持っていくんですけど、ペレットストーブや自転車発電機など、本物を見て体験してもらいたいということで、いろいろ車に積み込んで行っています。もう一つはイベントへの出店をしたり、エコツアーをしたりということもやっています。

また、地球環境事業もやっています。これは高梁市の森が非常に荒廃していまして、次の世代にどうやって手渡していくか、という話から始まりました。森の資源をエネルギーとして使えないかということで、間伐をしたり、蔓が絡みついている木をきれいにしてあげたりして、そこから出てきた間伐材をエネルギ―として使おうということで、薪ストーブを一台入れました。

この取り組みを3年間やってきまして、今年で最後なんですけど、そういう活動をするにあたっていろいろと地域の方々にも知っていただきたいということで、藻谷浩介さんに来ていただいてシンポジウムをしたり、紫波町に行ったり、徳島の地域エネルギーに行ったりと、いろんな地域の先進事例をみなさんに知っていただくという活動をしております。

来年度、もう一つゲストハウスに家庭用のボイラーを入れるという、実績としては2つのボイラーストーブを入れるというところで終わっているんですけども、まとめを作って市のほうに提出をして、行政としてももっと取り組んでいただきたいというふうに思っています。

岡山県の新エネルギービジョン、新エネルギー推進事業があるんですけれども、自治体の職員さんとかNPOの職員さんとかに来ていただいて円卓会議をしたり、意見交流会を年に3回やりまして、もう一回は県外に出て、県外の先進的な地を見て、岡山県内の地域に自然エネルギーを広めていこうという研修会をやっています。

もう一つ企業との連携というところでもやっているんですけれども、これは一つはあいおい同和ニッセイ損保さんから、これも7年くらいになるんですけど、毎年寄付をいただいて市民共同発電事業などに使わせていただいたりしています。

それからもう一つ、東京海上日動火災保険さんのほうから、これも3年間の計画なんですけど、年2回、親子対象に野外で環境活動をしています。自然エネルギーを体験していただきたいということで、バイオマスエネルギーでみんなで昼食を作っておいしく食べる。そういう、自然の中にあるもののエネルギーとしての価値を知っていただくための活動もしています。

【地球温暖化による危機について】

みなさんもよくご存知のように西日本豪雨というのがありまして、それまで岡山は災害のないところということで、非常に油断と言うか安心していた部分があったかと思うんですけども、そういうことが起きて、いろんな方々が、岡山でもこんな災害が起こるんだ、と思われたと思います。私たちも2000年から活動を始めて、やはり異常気象によって、いろんな災害がどこに行っても起こるんだと思っています。

災害もそうですし、毎年、夏になると「命にかかわる危険な暑さ」とも言われますし、本当に、生活の中に異常気象の影響がいっぱい出てきていると、これはやはり一つには地球温暖化の影響があるんじゃないかと、そういうふうに思って、これをなんとかするということをみんなでしていかなければと思って、危機感を持ってやっています。

地球温暖化のことを今さらお話しすることもないかなとも思うんですけども、世界の平均気温というのは、産業革命前から1度上昇していると言われるんですけど、この1度の上昇によってこれだけの被害が起きてきているということでは、これからどうなるんだろうという不安も持ちながら、でも私たちが出してきたCO2でもありますし、本当になんとかしないといけないという思いを抱えながら日々活動しています。

ちょっと前の山陽新聞の記事を使わせていただいてるんですけども、温暖化によって海面が1.5メートル上昇するよという記事が載っていまして、私たちが最初に会を始めたときに、海面上昇ということも聞いていましたので、1メートルの上昇でどのくらいのところが影響を受けるのかと東京のコンサルの方に地図を作っていただきました。左上の濃い青のところが1メートルの海面上昇によって沈む地域です。

これによりますと、私は西大寺から来ている者なんですけども、私の家も水没するという。やはりこれから先もずっと子供たちが安心して暮らせる地域を作りたいと、みなさんも思ってらっしゃると思うんですけど、一方ではこういう問題があるということを併せて考えていかなければならないんじゃないかと思います。

これもIPCCというところが出した特別報告書なんですけど、平均気温の上昇を2度に抑えるのと、1.5度に抑えるのとではかなりリスクの開きがあって、1.5度に抑えたほうがいいということなんですけど、1.5度に抑えようと思えば、2050年には再生可能エネルギーを100%、化石燃料を0にするという社会の大転換が必要だということが書いてあります。

これから30年後には、今こんなに使っている化石燃料を使えなくなる。そう考えていかないとこの温暖化は止められないと私たちは考えています。

これも最近出てきた国連の環境報告書なんですけども、SDGsということで岡山でもいろいろ取り組みをされてるんですけど、このままだったら地球温暖化を止めることもSDGsのいろんな項目を達成することも困難じゃないかということも発表されていまして、ほんとにこういう危機的な状況を多くの方に知っていただきたいなと思っています。

先程も申し上げましたように1.5度にするためには50年にCO2を0にしないといけないということになれば、社会の大転換が必要になるので、エネルギーを再生可能なものに変えていく。それから今まで使っていたエネルギーをできるだけ効率よく使う、そういうことが大事じゃないかなと思っています。

【木質バイオマスエネルギーの利用】

太陽光発電とか太陽熱温水器っていうのはどこにでも見られるんですけど、田んぼの中に太陽光パネルを立てて農作物とパネルの両方で収入を得る「ソーラーシェアリング」は、岡山ではまだ進んでないなと思います。

小水力発電も、岡山でも進めているんですけども、なかなか適地が見つかっていないという状況でもあります。地熱発電については、鳥取の東郷温泉でこういう取り組みがされています。私たちの自然エネルギ―の導入拡大の一つとして木質バイオマスエネルギーというのをやっているんですけども、こういういろんな使い方があります。まだまだこれから導入する余地があるんじゃないかなとことで、こういうところにも見学に行って、みなさんにも知っていただきたいなと思っています。

地域として取り組むことも大事なんじゃないかなと思いまして、バイオマスエネルギー地域供給システムを取り入れている岩手県の紫波町に去年行ってきました。ここではボイラーの配管を敷き詰めて、そこに温熱を流すという取り組みをされています。北長瀬の地域開発のことを聞いた時に、バイオマスエネルギーが向いてるかどうかは別として、そういう仕組みを街づくりの基本として取り入れてほしいなと思いました。こういう太陽光とかを、今からでも間に合うのであれば、ぜひ街づくりに取り入れていただきたいなと思います。

もう一つ、前に徳島県の神山町に行ってきたんですけども、ここもまだまだこれからですけど、公営住宅に配管を敷いて給湯とか床暖房とかにするという取り組みをされています。岡山県の西粟倉村もこれからやっていくんですけど、まだ今はできていないということで、よその地域の事例を見に行きました。

我が家もつい最近リフォームしまして、寒い冬、リビングで朝から暖房をつけなくて済んでいますし、それは断熱効果のおかげだなと思います。太陽光パネルで家の電気も賄うというふうになっていくんですけども、26%まで、4分の3削減できるというところまではうちもなかなか行ってはないんですが、これから新築やリフォームをするときに取り組んでいけば、今のようなエネルギーの使い方をしなくて済むんじゃないかと思います。

ちょっと前に出前講座を公民館でしたときには、「自分たち年寄りでお金もないからなかなかできん」とおっしゃったんですけども、やはりこれから必要なもの、冷蔵庫とかエアコンとか、そういうものを買い替えることは大抵の方がされるんじゃないかなと思いますけど、そういうときに最新型のものにすることによって、自ずとエネルギーの削減ができるということもあります。

大変な状況ではあるんですけど、でもまだ悲観はしていないというか、未来の人たちが安心安全な社会になるような取り組みができるんじゃないかなということで、もう少し頑張りたいと思っております。

【電気自動車を蓄電池として機能させる】

これは三菱自動車さんの資料なんですけども、V2Hという機械がありまして、太陽光パネルで発電した電気の、余ったものを電気自動車に流すことによって蓄電池として機能させることができるというものです。

さっき災害の話もありましたけど、自分の家のエネルギーを賄うことができるようになっているということを紹介されたので、今後も使えるようでしたら使われたらいいんじゃないかなということで載せてみました。

これから後の田中さんの話であるかもしれないんですけども、オフグリッドの生活をするために蓄電池をつける、太陽光発電や蓄電池を合わせてつける取り組みも必要になってくるんじゃないかと思います。

電気自動車と太陽光発電の組み合わせでV2H、この金額が170万円前後とお聞きしています。電気自動車が高いのでかなり高額にはなってくるんですけども、電気自動車も中古のものは100万円以下のものもあるので、そういうことも一つの選択肢として考えていったらいいんじゃないかなというふうに思います。

【エネルギーを自給することでより良い社会の循環をつくる】

私たちが自然エネルギーを自分たちの地域で作って使うということによって、これまで県外・国外に出ていっていたお金が、地域の中でまわっていく。子育てとか医療とかそういう社会的な課題にもまわしていけます。そうすれば、先ほど枝廣さんもおっしゃっていますけども、環境と経済が循環していく、そういうことが実現していくと思いますので、温暖化を防ぐということだけでなく、社会全体をうまくまわしていくためにエネルギーをぜひ自給していけたらと思っています。

このエリアの街づくりをやっていくときに、私たちからのお願いとしましては、可能な限りの再生可能なエネルギーを自給していくこと、エネルギーを無理しなくても効率よく使っていける、そういうやり方をぜひ考えていただけたらと思います。

私たちエネミラとしても、必要なエネルギ―を自然エネルギーに転換をしていくこと、それからエネルギーの消費を減らしていくというのは同じなんですけども、市民共同発電事業をもっといろんなところでしていただけたらなと思います。

市民共同発電事業が県や岡山市の政策になっているということをお話ししたんですけども、岡山市の目標としては、2020年に10件なので、今うちが9基なのであと1件でこの目標には達成します。

岡山県の場合は、2020年に80基を目標としてまして、今うちだけでなくて他のところもされているので合わせると34基なんですね。あと半分以上頑張らないと達成できないということで、こういう取り組みがあるということを知っていただいて、いろいろみなさんでお金を出し合ってやるとか、工夫されたらいいんじゃないかなと思います。

それと再生可能なエネルギーを供給する電力会社を応援したり、選択をしたりすることも大事かなとも思いますし、自治体とか国とかのエネルギー政策に私たちの意見を向けるということも大事かなと思います。口早にお話ししてしまいましたけれども、ご清聴ありがとうございました。

●枝廣:ありがとうございました。休憩の後のディスカッションのときにいろいろなご質問などもいただきたいと思うのですが、二つだけ質問させてください。

一つは、その市民共同発電所の仕組みを教えていただきたいんですね。公共の屋根を使うのは分かるんですけど、ソーラーパネル代は誰が出しているのか、そこのパネルのオーナーは誰になるのか、その売電収入は誰になるのか、ちょっとそのあたりを教えていただけますでしょうか。

●廣本さん/公共施設の屋根をお借りするということで私たちが始めたのが2003年ですが、そのころはまだ私たちが中国電力に電気を売るということはできませんでした。

ですので、私たちが設置したパネルを岡山市にお貸しして、岡山市が発電する。発電したぶんを保育園とか図書館の自家消費に使う。余剰分を岡山市が電力会社に売る。その総量を私たちに交付金としてくださるという、そういう仕組みを岡山市の職員さんが作ってくださって、それでやってきました。

ソーラーパネルそのものは私たちの持ち物で、売電収入も私たちの収入になっていまして、借金を払うという形にしていまして、残りの中から私たちの維持管理費にも使いますし、地域の出前授業とか、そういった社会貢献にも少し使っているということです。

●枝廣さん/ありがとうございます。すると例えばうちの地域でもやっていきたいわっていう人がいたらそういう仕組みを真似させてもらったらできるんですかね。

●廣本さん/例えば避難所になったりするコミュニティーハウス、そういう場所に地域の方々がお金を出し合って、寄付とか出資とか、いろんな形があると思うので、自分たちの地域のエネルギーを避難所につけるというのは、意識を高めるという意味でも良いことですし、災害が起きたときにみんなで使えるので、大事なことかと思います。

私たち、蓄電池をまだつけてないんですよね。それをどうするか考えているんですけど、コミュニティ―ハウスでパネルと蓄電池を合わせて使うとか、あるいは電気自動車で蓄電池の代わりをするとか、いろんなやり方があると思います。

●枝廣さん/ありがとうございます。もう一つ、これは後半のみなさんとのディスカッションのテーマになると思いますが、こういう活動を10年近くやってこられて、一般の人たちの意識はどうなんでしょうか。変わってきているんでしょうか。

●廣本さん/最初の頃に比べると変わってはきているし、太陽光パネルをつけている方も、ペレットストーブを設置している方もいらっしゃると思うんですけど、でもエネルギーってほっといても手に入るものだから、なかなかそこまでの危機感を持ってもらうのは、若い人たちもそういうことは敬遠される傾向にありますので、どういうふうにしたらいいか悩んではいるところです。

●枝廣さん/ありがとうございます。ぜひそのあたり、街づくりのいろいろなところに共通する悩みだと思うので、また後半ディスカッションできればいいなと思います。ではこの後、田中さんにお話を伺いたいと思います。廣本さんありがとうございました。