●青江/ありがとうございます。あとせっかくなんで今日参加されてるみなさんの中で、枝廣先生の話を受けた感想というか、今回のSDGs懇談会でみなさんにこれを出したらどうかと、いいアイディアがあればちょっとお願いできればなと思います。例えば今日、行政の方もおられるんですけど、半分個人という中でバランス感覚を持ちながらされてる、そういった中で意見なんかを。今の話とは別の視点から感想をもらえたりするとありがたいなと思うので、流尾さんよろしくお願いします。

●流尾さん(岡山市)/半分個人・半分行政という立場なんですけど、枝廣さんの話の中で、姫路の話で対案が出てきたという話があって、おーと思いながら聞いていて、この回でやったことをこの後どうしていくのかなという。話して終わりじゃなくて、今後プロジェクト化していくということも書いてあるので。

姫路の話でいうと、役所が設計をしてそれを作って管理していくのが普通のパターンで、たぶん姫路の場合も最初に絵ができた時点で3年後ぐらいには駅はできているはずだったんですよね。でもそっから見ると6年ぐらいかかっているので、役所の人からすると、なんでここまで来たのにひっくり返されるのかって中では大揉めしてただろうなと。

しかも議会も対案を出すし商工会も対案を出すし、なので中では相当。その中で町内とか市民の人たちの意見がバラバラになって、たぶんわけのわからない状態になって、やむなく泣きついたという感じじゃないかなと。それで商工会、商店街の方からそのようにご相談があってうまくいくようになったと。

というのがあって大変だったんだろうなと思いつつ、行政はどうしても2~3年でとか、まあ1〜2年でやることに今、躍起になっていると思うので、あえてそういうふうに少し時間をかけながら決めるというやりとりをしていくという事例があってもいいのかなと思います。

今回話したことを対案として「こんなのしたらどう?」というモデルを、一応、岡山市がSDGsのモデル都市になってるもののそれが具体的になんなんだっていうのをあんまり示せてないという中で、具体的に示すというところもあるとは思うので。

このエリアはこのようにしたいというビジョンがあり、具体的にはこういう熱利用をするとかっていう対案を、もう工事が始まってると思うんでどこまで変えられるかは分からないですけれども、そういうのを出していくのはいいのかな思いました。

私もちょっとマンション暮らしなのでいろいろ矛盾していると思いながら。僕も大元学区なのでね、話を聞きながら、今後どういう進め方がいいのかなと悩みながら聞いていました。以上です。

●六反さん(三宅商店)/2回目の小商いで登壇した三宅洋平さんが経営している三宅商店でスタッフをさせていただいています、六反と言います。僕がスタッフになって1年経たないんですけど、三宅商店は三宅洋平が福島の震災の後に、ずっと意識していた自分の価値観をより多くの人に広めたほうが安心・安全な暮らしを提供できるんじゃないかっていう想いから個人でやり始めました。

5年経っても自転車操業の、まさにスタッフが一人一人、一生懸命やって小商いを実践しているんですけど、なかなか今の資本主義経済で売るのは難しいなというのに直面している毎日です。

ちなみに三宅洋平さんは2回選挙に出ていて、そのときに作った政治団体を解散して、一般社団法人里山経済・環境研究所っていうのを去年立ち上げて、今、岡山市の隣の吉備中央町にいまして、里山の資本、自然豊かな暮らしを取り入れていくようなことを考える。先ほど四井さんが言ったような暮らしをできるかどうかに挑戦しているところです。

みなさんの話、暮らしのジレンマみたいなものを聞いてて僕もそう思うんですけど、世代間の価値観のズレって絶対に埋められないと思っていて。暮らしの価値観とか人生観みたいなものは、多様性に富んでると思うんです。

その違いを無理やり強制的に型にはめようとしても、もう難しいと思っているので、この価値観のズレみたいなものを認め合えるような社会を作れたら、暮らしにもっと前向きになれるかなって。

未来のことをこうやって真面目に考えれば考えるほど頭を抱えることが多いので、極力違う価値観の人同士が受け入れあって、まさにこういう場所、こういうディスカッションを深めることがこれから先、重要になるのかなっていうふうに今日感じました。

●青江/ありがとうございます。僕の個人的な感想なんですけど、枝廣先生と今回の話に出ていた姫路に行きまして。行政の仕事と市民の活動っていうのは、それぞれの役割みたいなものがあって、全体ができあがっていく。すると、どうしても真ん中の部分、どちらもやらないゾーンがあると。野球で言うと三遊間を抜けていくボールがある。

そこを市民も行政側の役割のところを見ながら、行政も市民側の立場のところに携わっていくという、あの図式がこれから大事なんじゃないかなと。それは行政と市民もそうだし、世代においても、高齢の方と子育て世代とか、三世代がお互いいい形で繋がっていって。

あとは六反くんが言ってるような、価値観とか人生観の違いっていうところですが、四井さんの話もありましたけれども、かといって彼らが生きてないのかっていうと彼らも一生懸命生きてる。そして僕らも一生懸命生きてるし、みんな一生懸命生きてる中で、今はどんどん細分化してて。

例えば僕ら世代で言うとスマホを見てSNSを見れば僕らと同じ価値観の方はたくさんいるわけで、そこで落ち着いてしまっているわけです。だけどもっと街に出ていってもらって、こういう場でいろんな価値観の人と仲良く一緒にその街のビジョンを作っていくっていうことは、とても有意義なことだと思います。

なので今日どこまでいくかは分からないんですけど、時間の許す限り、この対話を続けながら、今日精一杯のものをここで作って、終わった後に僕らのほうでまとめたりする作業はあるんですけど、そんな形でこの後も続けていけたらなと思っております。

《グループワーク》

●枝廣さん/けっこうな割合で書いてくださっているので、いくつかに集約していきますね。何人かでグループができるようにしたいので。じゃあ読み上げていただいて、似たようなテーマの人で集まってください。書いた人、まず読み上げて、次々まわしていって、あの人と近いから一緒のグループになろうとか、自分はあそこのグループに入ろうとかいうことで、全員分、書いた人のものを読み上げたらグループ分けします。

●青江/エリアとしては、この半径2キロの西部新拠点と言われているところが舞台なんですが、総合公園の隣、みずほ住座の跡地になるところを活用していけたらなと考えています。よろしくお願いします。

●逢澤さん/青江さんと一緒に西部新拠点で操車場跡地を考える市民の会の世話人をやっています逢澤です。西部新拠点の中でのパーマカルチャー部門を作る、農園を作り子供たちと料理して食べるスペース作りをしたいです。

●田辺さん/私は倉敷市水島というところに住んでいまして、毎回ここにお邪魔しています。今、水島の方で私がやろうとしているのはコミュニティーガーデン作り。みなさんとコミュニティーが生まれる場作りになればいいかなと思っていて、いろんな人と打ち合わせをしているところです。

そこを使って、またそこだけではなくていろんな場所を使って、エディブル・エディケーションを広げようと思っておりまして、エディブル・スクールヤード・ジャパンという一般社団法人のメンバーになって、今ちょっといろいろ勉強しております。

●四井さん/僕は、暮らすことで街を森にし、より豊かな場にしていくことをしたいと思います。僕は義理のおじいさんが生態学者の宮脇昭先生なんですけど、宮脇昭先生は「国民一人が木を3本植えればこの日本国に3億何千万本の木が植えられる」と。もし町の中に木を植えていけばこれからの地球温暖化も解決できるんじゃないかなと。

《グループワーク終了後》

●枝廣さん/では各話の続きは懇親会でやっていただくとして、他のグループがどんな話をしていたか、みんなで共有していきたいと思います。こんなところ重なるよとか、こんな視点もあったんだとか、1グループが3分ぐらいでお話をしていただけますでしょうか。

●加藤さん/私たちのグループは、アイデアを組み合わせる、繋げるというのを話し合いました。コミュニティーガーデンから地域のエネルギーの循環、自給自足まで、幅広く。

また、話し合いの中で人と人を繋げる、ソフトを繋げるのも重要だなという話が出まして、世代間の繋がりだとか、立場の違う人と繋がるとか。それをどういうふうに実行に移せるかという。

いろんな意見や最新の技術があって、意識の高い人は自分で情報を取りに行って知っているんだけれども、まだまだそういう、いい事例を知らない人がたくさんいるので、まずそれを知ってもらうという、そういう仕組みづくりですね。

知ってもらった上で、こういうこともできるよねっていう。行政と市民が対立するのではなくて、少しずつ妥協点というか、どれだけできるか探りつつ、少しずつ前進していくというのが大事なんじゃないかっていう話をしてました。

●流尾さん/集約されたのは、自給率アップへの思い。近くのものを近くで買うとか、パーマカルチャー的なことをやるとか、そういう繋がりのあるものを目指す。自分たちで作れば仕事が増える、仕事が増えるといろんな人が仕事をするチャンスが生まれる。規格外商品もできる、その規格外商品を買う。

それを個人で100%やるんじゃなくて、10%増やそうとか。「ネギはうちのプランターで作っている」みたいな、そういう目標設定みたいなのをしてもいいのかなという。

北長瀬でマルシェをするということがあるので、その中で人が集まるときに体験をするとか、作ってみるとか、焚き火をして、人間らしいことを体験してみるということができるような場を作っていく、そういう体験ができたらいいなと。ちょっと無理やりまとめましたがこんな感じです。

●逢澤さん/3つにまとめました。まず住宅地、庭、路地に木を植える。で、家を建てるときに木を植えて家づくり、街づくりが森を作るという前提で、その森からの落ち葉や家庭からのゴミで堆肥を作る、そしてそれがコミュニティーガーデンとなり、そのコミュニティーガーデンを学校や幼稚園に作る、それが農園となり、いずれ料理を作る子供たちの教育、食育とつながる。

で、食べるスペースや農作物で料理を作って居場所作りとなる。この中で一番のキーワードは、それが美しい、アートである、デザインをちゃんとするということ。美しいことが人を呼ぶということ、がキーワードとなります。

私たちはこの周辺で市民の会というのをやっているので、実践はすぐできるんじゃないかと思っております。その中で、実践する意味で、中学生ボランティアにいろいろ参加してもらっているのを、農園の回数を増やして、もっと木を植えるとか、そういう活動をしていきたいなと思っております。以上です。

●サウミャさん・岡山さん/私たちのグループでは、公共交通と自転車と歩行者中心のことを考えました。この界隈まで行くのに、自転車とか歩行者が、歩きやすい・行きやすい場所にしようと。

それが4種類あって、まず公共交通。岡山駅〜大元駅から問屋町を通って、北長瀬駅を結ぶ路面電車を通すという長期的なもの。で、バスのサービスを頻繁にすること。

歩行者においては、お買い物とか仕事場とかへ歩きやすい場所を作る。そして北長瀬駅を渡るのにもう一個コネクションを作ること。南北が障害になっているので、自転車ではアンダーパスの怖いところとかすごく高い橋とか通らなきゃいけない。北長瀬駅のエレベーターを、自転車が通れるようにしてくれたら済む話なので、そうしてもらうという。

そうしたら、繋がる可能性が高い。あとは自転車のルートを作ることをビジョンにして、街中から問屋町界隈まで自転車で安全に行けるルートを作ること。それが大きい道路じゃなくても、大きい道路から一本離れた安全な道だったらいいなと思います。岡山市中心部には、ここ数年、急速に自転車道が整備されまして、ここは簡単、道がもともと広いので、自転車通りはいくらでもできると思います。

●岡山さん/彼女はアメリカのポートランドというところから、1ヶ月前から来られていて、ポートランドというところはまさに路面電車とか自転車、歩行者を非常に大切にして、全米一暮らしやすい町になったところです。持続可能な都市づくりの中で見本になるので、本当に参考にしたらいいと思います。

●青江/こちらの班は、こういうシンポジウム通して持続可能な街、地域社会を作って行こうとするときに、かつ岡山市がSDGs未来都市になっていると、だけど70万人の話をすると抽象的になってくるので、まずは自分たちのできる範囲というので、そこのエリアで実践してみるというのが一つ。

で、それがこのエリアの中核となる公園の横、みずほ住座の跡地です、そこが約4000坪あるので、そこのエリアの中で、今話しているようなことがすべて実践されていかないかな、ということを話し合いました。

アクセスという点では路面電車やバスが通るようになって、中心には開かれたコミュニティースペースというものがあって、そこで官民が連携をしながら啓蒙活動というよりどちらかと言えば実践の場として、そこで実践をしていると。

そういう実践を見ながら、このシンポジウムに関心がないような人たちが関心を持ってきて、街づくりに対するワクワク感というのが生まれていったらどうか。そこにも余白がありながら、「自分たちもそんなことしたいけど、そんなふうにできないな」という人の相談窓口にもなる場所が、中心に開かれてたらいいなと。

4000坪で実際に暮らしもできると、例えば50世帯60世帯の方が暮らしを営んでいて、その方たちの必要なエネルギーがそのエリアの中で循環をしている。そういうモデルになっていくようなことができないかなとということを話しました。

簡易宿泊所になったり、例えば他府県で災害があったときには、一時避難受け入れができたりとか、そういった外に向けた地域防災拠点のことも考えられる。で、これをするために来年度これから検討していかないといけないのが、まずは行政があそこの所有権を持たれているので、行政へのアプローチを進めていく。

あとは枝廣先生の先進事例にもありましたけど、ガイドラインというかビジョンを、これから作っていくというのが検討する内容かなという話をしました。以上です。

●枝廣さん/さきほど青江さんからも話があったように、この1年間で5回シンポジウムを続けて、いったんここでまとめて市の方に、こういう形でSDGs的に誰一人取り残さない、行政から降って来るんじゃなくて、地域の人の考える地域づくり、街づくりをしていくというプロセスを、この地域でやっていきたいということを、提案を出したいと考えています。

この提案書はこちらの方で、「くらしのたね」ないし私が少し監修しながらまとめていきますが、SDGsの11番・街づくりで考えていきたいということ、それも岡山市がSDGs未来都市なのでピッタリだと思います。

この4回のゲストスピーカー、テーマを定めてのゲストスピーカーをお呼びしてどんな話を聞いてどんな学びがあったか、その後のワークショップでどんな意見が出たか、それをまとめるのと、今日みなさんに先進事例をレポートに入れて、今みなさんが5つのグループでやってくださったように、例えばこんなことを考えていきたいと、それをまとめる形にしていきたいと思っています。

来年度、具体的にどんな形で進めるかっていうのはまた「くらしのたね」ないし青江さんのほうから声がかかるとは思いますが、今度はみなさんに具体的に検討したり、いろんなことを考えたり働きかけをしたりというフェーズに入っていきます。この一年間、勉強していろんな方を巻き込んでというフェーズでしたけど、ぜひそのプロセスも一緒に進めていただければと思っています。じゃあ最後青江さんの方からしめてもらってよろしいですかね。

●青江さん/今日もみなさんおつかれさまでした。僕自身はこの町、ここでミナモト建築工房という工務店であり、「くらしのたね」という場所で、いい地域にしていくための活動を続けていて、これは僕、自分の人生をそれに費やすような感じでやっています。

その中で、来年度この4月以降は、具体的な検討会をしていこうと思っていて、これからこのシンポジウムのゲストの方には、その検討会に入っていただきたいというお誘いを、またあらためてさせていただきたいと思っています。

で、参加いただいた方々にもそこに関わってほしくて、その発信の仕方をどうしようかと、まだ考えてはいないのですが、名簿を100%完璧には管理はできていないんですけど、できるだけ発信できる方には発信をしていきながら、チラシ・ウェブサイトを作っています。

みなさんからもそのウェブサイトに入って来てほしいです。そこには、今後こうしていくっていう情報をどんどん発信していこうと思っていますので、そこに入って来てもらって、あとは僕のメールや電話を登録していただきたいなと。

この輪を崩すことなく続けていきたいので、よろしくお願いします。で、最後シンポジウムでまとめたものを、できれば岡山市長に届けたいという気持ちではいますが、おそらく僕が直接、岡山市長にというよりは、いったん行政の政策局、流尾さんがおられるところにお届けして、あとはお任せしますという感じになると思います。

その内容なんかも、ウェブでは「こういう感じで出しました」とかアップしていこうと思いますので、そういうのもみなさん見ていただけたらなと思います。えっと、話したいこと何かありますか?

●サウミャさん/今日はとても楽しいワークショップをありがとうございました。とっても素敵な声が出てきてワクワクします。ありがとうございました。

●青江さん/サウミャさん、11歳の時から日本の文化に恋い焦がれて、そこから日本語を独学で勉強して、今、漢字も書けるし、読めるし、すごい。一年間、岡山にいるので、その検討会なんかにもぜひ参加してもらいたいです。

実はパートナーの方が、ポートランドの公園局に勤めている方がこれから来られる予定なので、ぜひアイデアをもらえたらと思っております。はい、長丁場になりましたが、ここでいったん一部を終了にさせてもらって、二部の準備が整い次第、懇親会を始めようと思います。ありがとうございました!

【くらしのたねまきシンポジウムvol.5を終えて】 枝廣淳子

いよいよ、とりまとめの第5回です。今回は、これまでのゲストスピーカーのほとんどが勢揃いの豪華メンバー。私からいくつかのまちづくりの事例を紹介したのち、総合的にこれからの「この地域でのSDGsのまちづくり」を考えました。

「農園を作って、子供たちと料理して食べるスペースを作りたい」「人と人をつなげる仕組みづくりをしたい」などのほか、エネルギーの側面、自転車などの交通に関わるものもありました。また、具体的に、みずほ住座の跡地になる場所を活用して、持続可能な暮らしのモデルをつくりたい、という声もありました。

これまで地域防災、小商い(地域経済)、グリーンインフラ、エネルギーとさまざまな側面から「SDGsのまちづくり」について議論してきましたが、これからはこの5回の集大成をもとに、より具体的な検討を進められることを楽しみにしています!