くらしのたねまき シンポジウム vol.1

REPORT

【みんなでアイデアを交換しよう】

で、今からやっていこうと思っているのは、この何回かのシンポジウム、フォーラムをやりながら少しずつまちづくりについて、今日は防災についてを考えましたよね。それから食べ物とか、エネルギーとかいろんなものを考えながら、どういう町にしていきたいかっていうことをみんなで出し合っていきたいと思っています。

全回参加していただければ一番いいけど、参加できる会だけでも、思っていることをみんなで出し合っていこうと思います。それをきちんと記録するかたちで残していって、参加者のこういう声がありました、こういう声が多かったです、こんなまちづくりを私たちは望んでいますということを、少しずつ最後に向けてまとめていけたらと思っています。

最終回は、勉強会というよりはみんなでどんな町にしたいかっていうワークショップもやっていきたいというふうに思っています。今日はその初回なので、こんなかたちでやっていこうと思います。初対面の方もいらっしゃると思うので、3人か4人でグループをつくってもらって、こんな町にしたいということをざっくばらんに出しあってみたいと思います。

その時に、まちづくりを考える時に、最低レベルでもここはやってもらわないと困るよね、絶対守りたいという最低ラインと、もう少し上の、こうだったらいいなというラインがあると思います。両方出してもらって構わないので、例えば、北長瀬なり自分の町内会なり、自分の地区、まちづくりをもっといいかたちでやっていくためには、ここをこうしたいとか、こうだったらいいなとか、いろんな側面でいいので、それを自由に出し合うということをやりたいと思います。

一人で考えるんじゃなくて、何人かでお話ししていると、いろいろお互いに刺激になったりしていいと思うので、たぶん近くには一緒に来た方が座っていると思うので、一度立っていただけますか。立っていただいて、できるだけ今までお話ししたことがない方、3人か4人の組になったら座ってください。グループになったところから、どこか椅子を探して座ってください。できるだけ話したことのない人と組みましょう。

今スタッフの方がポストイットを配っています。こんな町にしたい、ハードの面もあるし、ソフトの面もあるし。ぜんぜん制約がない中で考えていただきます。こんな町だったらいいなっていう。15分取ります。15分あるのでゆっくりね、自己紹介も含めて。

(15分経過)

●枝廣さん/はい、ありがとうございます。2回お話をしていただきました。どんな感じだったか共有しましょう。全部のグル-プに発表していただく時間は取れないと思うのですが、前のグループでも今のグループで出た話でも、もしくは自分の思っていることでもいいので、何人か少し共有してもらえたらと思います。ではどなたか。特にこれが印象に残ったとか、こんな話が出ましたとか。

●男性A/岩淵と申します。僕のテーブルでは、安全な町が大事だろうというような話になりました。前のテーブルでは町内会の話が中心になったんですけれども、その中で若い人の意見が通りやすいし、そのような意見が返ってくるような風通しのいい町であってほしいということと、いろんなことが起きるようなワクワクするような町、活気がある町になってほしいという意見がありました。

●男性B/自己批判ばかりしておりますので、お互い褒め合ういいところを探して、そこを伸ばすとか、あと3回やられるときに、事例としてこれからも含めて前向きにやっていきたいと思います。

●男性C/高尾と申します。今日は吉備中央町から来ました。よく最近テレビで避難勧告、避難準備、避難指示とキーワードが出てきますけれども、何が一番危機の迫った状況なのかということで、やはり避難勧告の次に避難指示、これが一番切迫している状況なんですね。

それがみんなにどう理解されているか。たぶん今、各自治体とか各局の報道でそのへんがすごく曖昧な定義になっている気がするんで、早めに非難する人たちが増える背景づくりをして、住民と共に避難の発表基準をつくっていくのもありなんじゃないのかなと思います。

●枝廣さん/ありがとうございます。避難経路を自分たちで確認するだけじゃなくて、笹ヶ瀬川の水位がここまで来たらこういう指示にしようとか、みんなでそれをつくっておくと指示が出た時、確かに分かりやすいですよね。今テレビ局で言っていてもそれがどれぐらい深刻なのか、分からなかったり。すごく具体的な案までいただきました。ありがとうございます。

●女性/桑島と申します。今日はありがとうございます。どんな町にしたいかというのをいろんな立場から聞かせていただいて、とてもいい時間を過ごすことができました。たくさん(意見が)出てきた中で、印象深かったのは、人との繋がりの生まれやすい町に住みたいということでした。

あと、Uターンしてきた方がいらっしゃって、戻ってきやすい仕掛けがあるといいなという話がありました。あと、地元と繋がれる分かりやすい仕組み、そういう町になるといいなということでした。

その中で、どういう活用ができるかなというのが出て、公民館だったりとか、北長瀬の今出ている公園だったりとかが、あるといいなと。私が提案したのは、自分の家がまずそういう場所になるといいなということ。防災の面でも自分の家においでよっていうお話をしたんですけれども、自分の家が安全だなと思う人が、警報が出た時点で友達を家に呼んで一緒に避難する、公園とか避難所に行く前にお友達のお家に避難するというのはどうだろう、そういう繋がりのある町がいいなと。

それで仕組みとしてどういうのがあったらいいのだろうというお話をしたところで時間が来てしまいましたので、また続けて話ができたらいいなと思いました。

●枝廣さん/今、お話を伺っていて、キューバがね、非常にハリケーンがたくさん来る大変なところで被害が多かったんですが、今すごく少ないんですね。いろんなことを取り組んでいるのですが、その一つ、避難所に行くのが大変、もしくは避難所が少ないので、コンクリートの部屋をつくる、その部屋にいたら安全だというので、その町内で何軒かつくって、いざという時はそこにみんなで逃げ込むみたいな、地域防災力そのものだなと思うのですが、我が家でそういう、基準があったほうがいいでしょうけれど、大丈夫だよという助け合いがあったらいいかなと思います。

みんなで2つのグループで話をして、共有をしてもらいました。それをお話の中で出てきたことでもいいし、聞きながら思ったことでもいいので、今からみなさんが考えたことを記録として残させていただきたいです。

たぶん話している時は夢中で、書いてない方も多いと思うので、ポストイットを2枚ずつ用意してください。1枚目はまちづくりについてこれが大事だと思う。もう1枚の方は、今日この会に参加しての感想。向こうに貼る場所を分けているので別々に書いてください。いくつでもいいです。書き終わった方から、模造紙を貼ってあるところへ貼っていってください。

(貼り終わり)

●枝廣さん/ではですね、最後に今日お話をいただいた町内会長の澤井さんとマットさんに一言ずついただいて、最後、青江さんが締めます。では澤井さんお願いします。

●澤井さん/みなさんご苦労様でした。最後の話し合いでは、どういうふうにしたら住みやすい町になるか、子育てしやすい町になるかということでいろいろ出てきたと思います。その中で、私がいつも思っていることを述べさせていただきたいと思います。

今、高齢化社会ということもありまして、お年寄りに優しい町ということが言われているんですけれど、私はお年寄りに優しいというところは捨ててます。今、私が一番やっているのが、子供の育てやすい町、子供がきちんと育つ町。これを念頭に置いてやらせてもらっています。

そういうことで子育てに関する支援も御南学区ではいろいろ行っているのですが、やはり町が明るくなるには、子供の元気な声が聞こえてくるのが一番だと思います。今日は若い方が大勢いらっしゃいますので、若い方の声を聞かせていただきながら、これからの町づくりに活かしていけたらと思いました。ありがとうございました。

●マットさん/みなさんがグループで成し遂げたことは凄まじいなと思っています。すごくシンプルな、みんなで集まって話しただけのように見えるかもしれないけれど、これはやろうと思ってもやれていなかったりすることなので、このイベント自体がすばらしい一歩だなと思いました。

これを企画したみなさんが奔走しているのを見ていたので、みなさんの貢献というか努力に拍手を送りたいですし、そういう方々がリーダーシップを持ってものごとを前に進めるということが、私もポートランドの件でも話していた、一人ひとりがリーダーシップを持っていろんなことを起こしていくということなんだろうと思います。

今日関わった、オーガナイズしたみなさんの一歩というのは、みんなが意見を言いやすい環境にするということだったと思います。意見を言ったり、考えを発想しやすくなるような。みんなの考えを聞くことで、どんどん意見が言いやすくなったりするわけです。

意見が言いにくかったなという、もともと内気な方もいらっしゃったかもしれないけども、その中でも何かしら自分の貢献を紙に残すかたちでみなさんここに関わったという感触を持って、お家に帰られたらすばらしいなと思っています。

こういうことに関わると、必ずこういう成果物があったりして、本当に心からワクワクしてしまうんですけど、こういうことの中に、自分が一人の人間として生きていて何を大事にしているのか、それぞれの方の大事なものが詰まっているんですね。

やはりそれが詰まったこの紙が、このコミュニティーにとって価値あるものだとすごく思うので、それがあるということに心からワクワクします。みなさんがここに戻ってき続ける、あるいは他の人を巻き込んでこういったことを開催し続けることが大事だなと思います。

小さいステップを積み重ねていくことが一番遠くまで行ける方法だと忘れずに、みなさん一緒に小さいステップをどんどん前に進めていっていただければなと思います。ありがとうございました。

●青江/みなさん今日は長丁場にわたってお時間いただきありがとうございました。よくこういう会で意見を出し合う時に、すごくスピードを求められたりとか、意見がまとまらなかったりとかあるんですけれど、今日は比較的落ち着いて丁寧に対話ができたのではないかなということを感じました。

このタイミングで、地域防災ということを考えられたというのが貴重な時間かなと、ここに来られているみなさんは防災ということを考えた時にどうやって助けてもらうかではなく、どうやって助けるかっていう、助ける側にまわっているような方々の顔ぶれに僕は感じたので、これからもそういった活動を通じて、お互い助け合えるようなまちづくりというか関係性がつくれたらなと思っています。

今後これを3月まで何回かテーマを分けてやろうと思っていて、当然そのあともまちづくりは続いていくんですけれども、次回は経済の循環であったりとか、食糧の循環とか、そういったことをテーマにお話をしようと思います。

そのあと、例えば町に緑を増やしたらどうか、緑化ということとか、今回のチラシにも書いてあるんですが、パーマカルチャーという考え方とか、そういったことをする会があったり。もう一つは地域のエネルギー、そういったことを考える会、テーマごとに分けてまとめていこうと思っているので、日程とかに関してはウェブサイトにこれからどんどん発表していこうと思うので、みなさんどうかそこをチェックしてもらえたらなと思います。

最後になるんですけれど、次回の予定が確定はしてないんですけど、10月27日(土)、また14時ぐらいから開催して、夜またご飯を食べることをしようかなと。できればこの場で確定したことをお伝えしたかったんですが、調整中ではあるんですが、その時にゲストで来てもらおうと思っているのが、三宅商店さんという、実は三宅さんが今来られているんですけれど。関東からこちらに、吉備中央のほうに拠点を移されて、エシカルな持続可能な商品を展開していっている。

もう一方、コタンという有機食材スーパーのヒデ君に来てもらって、自分たちのワッカファームで採れた野菜を問屋町のマイマイカフェで使ったり、そういう食の循環というのを実践されている実践者なので、そういった方々の話を聞きながらまた同じようにみなさんの意見も聞いていきたいなと思っております。少し三宅君、せっかくいるので。

●三宅さん/ありがとうございます。ご紹介にあずかりました三宅洋平と申します。本職というか本業はずっとミュージシャンをやっていたんですけど、音楽のフェスとかステージの上でお客さんにビジョン、ものすごく簡単に言えば、山を守ろうと言おうが、川を守ろうと言おうが、アイデアは持ち帰ってもらえるんですけれども、やっぱり何年も何年もファンと接していると、なかなかライフスタイルが変わっていかないんですよね。

「三宅さんライブでいつもいいこと言ってますよね~」「僕、何言った?」「いや、よく覚えてないですけどいいこと言ってました~」って感じで、ふわっとしている。ただ原発事故のあと痛切に感じたのは、官邸前で総理大臣に文句言いたい気持ちは僕にもあります。だけど、何も変わらないじゃないですか。ふと思ったんですけれども、TPPに反対しているデモに行ったら、TPPを推進している企業の服を着ているんですよ。ドキッとしますよね、こういう話って。

だけどそこから変えていくしかない。ただエネミーイメージに支配されて、大企業は敵だ~ではなくて、今ある物は大事にしよう、というところから次の選択はどうしようっていう時に、1000円高いけどオーガニックのコットンのを選ぼうとか、麻でできているものを選ぼうとか、というチョイスが具体的にあった方がいいなと思ったんですね。

だから、僕はファンには高いって思うけれど、ずっとヘンプとオーガニックコットンのバンドTシャツを20年ぐらい作り続けているんです。安い方がはけますよ。Tシャツって一週間に7枚しかいらないじゃないですか。着てないTシャツの山盛り状態ってこれもう、あるあるじゃないですか。そういう時に僕らが具体的にチョイスしていく時に、僕が商店を作って洗剤の代わりにこれ使ったらいいよとか、そういうものをとにかく具体的に置こうと。

最近はミュージシャンのくせに商売の宣伝ばっかりしてって言われるんですけど、これも宣伝とか商売に対するエネミーイメージですよね。何か人をだまくらかして物を売るのが商売だという過去の資本主義に対する思い込み、僕はそこも変えていきたいから、宣伝かもしれないけどこういうものをチョイスすることで経済から世の中を変えていくっていう時に、自分の采配が振るえるところからしっかりコントロールしていこうよっていう、そこから大きいことにみんなで進めていけるんじゃないかなと思って三宅商店というのをやっています。

選挙に出たりとかしてるんで、何者かが分からなくなってきているんですよね。ミュージシャンです。ミュージシャンが地球に優しいお店をやっています。そして思い余って選挙に出ちまった。最後の部分が最近はフォーカスされていますけれども、次回はコタンのヒデ君、奉還町の岡山駅前店がありますけれども、実は20年近く前、フェスで彼が出店しているのを見たことが、僕が三宅商店をやる原点になっている。

コタンが僕の中で、こういうものをこういうふうにおしゃれに売って、スーパーの醤油じゃなくて3倍高いけど本物や-! って言っている醤油ってどんなかなと思って買って帰ったら人生変わったんですよ。日本人日本人って言いながら味噌も醤油も偽物に囲まれてた、工業生産によって。もう、ちょっとエネミーイメージ入っちゃってるんですよ。いいものを本当に売ってる人がいるんだという感動があったんです。

まあちょっとそのへん小商い、実は今日話した防災にもつながってくる話だし、地域をどうつくっていく、コミュニティーをどうつくっていく、都会だけど村づくりだろうし、10月27日、レコーディングの合間をぬって来ようかなと思っています。よろしくお願いします。ありがとうございました。

●青江/みなさん今日はありがとうございました!

【くらしのたねまきシンポジウムvol.1を終えて】枝廣淳子

今回、くらしのたねまきシンポジウムの初回が盛会のうちに良い形で進められたことをうれしく思っています。地域防災をテーマに、さまざまな地域の方々が参加されて、ゲストのお話を聞きながら、またワークショップを行いながら、自分たちの地域について、気づいたり、考えたり。まさに「くらしのたねまき」ですね!

さらにテーマを広げながら、本当に持続可能で幸せな地域づくりを一緒に考えていけたらと思っています。