【脱炭素化のパフォーマンス 各国比較】

で、本日ここがこの日のために作ったサムシング・ニューで、誰もいない世界のところへ行こうとしているということであります。これをどう比較するかなんですけれども、例えばアメリカは一番上にいます。初めに言ったように、ものすごいCO2を出している。一人当たりのCO2が日本の倍以上出ている国であります。

カナダも実は水力はたくさんあるんですが、けっこうエネルギー効率化の悪い国なので、高い値になっています。逆にフランス、スウェーデン、スイスなんかは日本よりもCO2は一人当たり出ていないとあります。

ワールドって書いてある黒い左の隅のほうににょろにょろってありますけれども、これが世界平均です。これを見ていただくと、どの国も世界平均よりもだいたい上なわけですね。ということは要は、先進国がパフォーマンスの悪いのを、振興国の、エネルギーアクセスがまだまだない人たちが一人あたりの値を下げてくれているから、世界平均がそこにあって、先進国は上にいれる、という状況になっている。

で、2050年の目標はそれを世界全体であそこの黒のゾーンも抑えようということになっています。すなわち、世界全体での一人当たりCO2ですら、半減させようという、2℃ですらそうです。1.5℃というのは水平線上に持ってこようという話の中、先進国というのはまだまだパフォーマンスが悪いわけであります。

そうすると、いかに先進国が頑張らないといけないか。逆に言うと新興国の人たちがこれから上に出ていくわけであります。なので、下に抑えてくれている人たちがこれから上に行こうとするわけでありますから、先進国というのをがどれだけしゃがめるか、頑張らないと1.5℃どころか2℃目標はなかなかできないというのが見てとれると思います。

【脱炭素化 各国の「偏差値」】

ちなみに、一人当たりCO2の排出量がどれくらいのパフォーマンスかを、偏差値にしてみたものです。日本の一人当たりCO2の偏差値、これはIEAが出しているデータ130か国ぐらいの中で、一人当たりCO2がどれくらいかを並べたものですが、少ないものほどいいって考えた時に、日本は44.7ということで、平均より若干下で、まだまだ頑張らければならない。

ちなみにそのお隣さん、ドイツとほとんど変わらないということでありまして、ドイツはけっこう環境先進国と思われがちなんですが、CO2の観点でいくと日本とどっこいどっこいぐらい。で、意外なことにイギリスとかフランスのほうがドイツよりいいと。

フランスなんかは偏差値60で相当な頭のいい学校のお子さんというぐらいのレベルになるわけでございます。アメリカは偏差値26.4ということで、もうちょっと頑張りましょうねと状況にあるということ。

【脱炭素化のパフォーマンス 要因分解】

これを要因分解をしてみたものがさらにこちらであります。一人当たりCO2は2つの要因に分けられると思っています。すなわち、それは一つのエネルギー消費を行うにあたってどれだけCO2が出るのか、同じエネルギーを必要時に、汚いものを使うのか、きれいなものを使うのかっていう観点が左側。

つまりエネルギー低炭素度。右側のエネルギー消費効率、これは何かおこなうときにどれだけエネルギー消費をするのか。同じことをしようとしても、なるべくエネルギーを使わないようにする、すなわち省エネですね。省エネの消費効率が右側です。

ですので、緑のエネルギー低炭素度っていうのはどちらかっていうと、エネルギーを供給する人がどれだけクリーンか。で、オレンジのほうはエネルギーを使う人がどれだけクリーンな使い方をしているか、という観点でご覧いただければいいと思います。

こういうふうに分解をしてみて、それぞれで偏差値化してみたものをレーダーチャートにしてみたものが左下でありまして、頂点と右上のところが供給側であります。頂点は電力の低炭素度、右上は非電力の低炭素度。

運輸部門、家庭部門、産業部門のエネルギー消費効率の偏差値を表したものがこちらであります。日本は赤のダイヤモンド型になっていて、左下ほど尖っていて、右上はつぶれちゃっている、中に行くほど偏差値が低いんです。外に行くほど偏差値が高いんです。日本は消費部門のパフォーマンスはいずれも50を超えていて特に家庭部門の偏差値はどの国よりも高い、すなわち家庭部門というのはものすごく効率がいいんです。

で、他方で供給側はどっちも偏差値が40を割っていて30台と、非常にパフォーマンスが悪いというわけでありますが、なかんずく電力部門の低炭素度が悪い、ここをなんとかしなきゃいけないと思います。

【電力の低炭素度】

ではなぜ電力の低炭素度にそれだけ差が出てしまっているかというのは、こちらでありますけれども、非化石、すなわち再生可能エネルギーと電力、水力は青色で分けております。下の3つの部分の高さが高ければ高いほど、残りを化石燃料に依存するという関係が小さくできるということです。

偏差値が高いフランス65ってありますけれども、左をご覧いただくと原子力73、再エネ7%、水力が11%もあるということで、90%非化石電源になっていることから偏差値が高い。

日本は原子力の再稼働が遅れている。水力と再エネも入っては来ていますけれども、各国に比べると少ないということが一つ大きな理由になっていると思います。ちなみにアメリカとドイツなんですけれども、実はドイツは再生可能エネルギーをものすごくやっているんですが、電力の低炭素度でいうと、アメリカに負けちゃっているんですね。これはなぜかというと、ドイツは非常に多い26%の再エネを入れています。高いお金を払って導入を促進しています。なので非化石電源比率はドイツのほうがアメリカより高いんです。

でも、他方でご覧いただくと、石炭の比率がドイツは42%と非常に高い、アメリカは31%に抑えていて、ガスの比率が高い、なので非化石比率があまり変わらない中においては石炭の比率が高いほうがパフォーマンスが落ちてしまっていると。

ちなみにドイツは最近、石炭委員会というところで石炭の利用を2038年に向けてやめていくと発表しておりますが、足下でこれだけの依存をしているということで、これをやめて、かつ国内の石炭を使っていますので、構造転換をしていくのは並大抵のことじゃないと思います。

まずは日本は、ここの非化石電源をどうやって広げていけるか、あるいは石炭の依存を下げられるか、ということが一つ大事になってきます。そのときに、日本は再エネが大事なんですけれども、難しさも踏まえておかなければならない。

【再生可能エネルギーの活用状況】

再生可能エネルギーを導入しようと思うと、やはり国土面積が広ければ広いほど資源もたくさん得られる、国土面積当たりに再生可能エネルギーがあるわけですが、それをどれだけ活用できているかというものが左側です。国土面積当たりの再生可能エネルギー発電量というものと、再エネ発電密度という概念が作れるかなと。

再エネ比率を決定するのは実はこれだけじゃなくて、需要がどれだけあるか計算をすると、国土面積が消えてしまって、すなわち総需要当たりに再生可能エネルギーの発電がどれだけされているかということですが、国土面積当たりどれだけ需要があるかということによっても、この影響が変わってくると思います。

実は日本は国土面積当たりの再生可能エネルギーの導入量というのは世界の中においても進んでいるほうであります。日本の偏差値67.4とということでして、狭い国土でありながらも再生可能なエネルギーをたくさん作っていて、さらに高みを目指しているということであります。

他の国に比べても、そんなに遜色がないと。ドイツが日本より高い、73.6ですが、イギリスやフランスの先進国よりもよっぽど導入が進んでいるということであります。ちょっと見づらいですね。これは何を言っているかというと、ただそれだけ国土面積当たりに入っていたとしても国土面積当たりの需要が多ければ多いほど再生可能エネルギー比率っていうのは低くなるわけであります。

すなわちこれ、需要密度を横にとって、縦に再エネ比率を取っていますが、日本の国土面積当たりの需要密度というのはご覧いただくように他の国に比べて非常に需要密度が高い、すなわち狭い国土の中にたくさん人が住んでいて、産業活動がおこなわれているので需要が非常に多いんですね。

なので、同じ国土面積当たりに発電をしていても需要が多いために再エネ比率は落ちる、逆に需要密度を2分の1にした場合、日本は今300ぐらいの需要密度にいたものを150ぐらいにすると、再エネ比率は30%弱行くはずです。

なので日本と同じ国土面積当たりの発電比率にしたときに、需要密度が、変えてみたときにイコールになる線を引いたのがこの点線。ですので、すなわち需要密度が高いほど再エネ密度が上がりにくいんですね。

日本がだんだん人が減っていって、需要密度が下がっていけば同じ再エネの導入、国土面積比率であっても再エネ比率は上がりやすくなるということで、このボーダーラインを見てみると、日本のボーダーラインより右に行っている国はほとんどいない。スイスとオーストラリアとドイツぐらいしかない。

なので、何が言いたいかというと、日本はほんとに需要が多いので、再エネをどんどん入れてもなかなか再エネ比率が上がりにくいという課題があるということが分かります。

【再エネの電気を系統電源へ流し込む】

それともう一つ、これは今、再生可能エネルギーの導入を進めるには、系統(電力会社による集中電源)の中に流しこんでFITで買い上げて増やすということをやっているわけであります。日本の特殊性としては、黒い実線が需要であります。

電気というのは基本的には貯蔵がきかないので、需要と供給を瞬時に合わせなければいけない。ですので、この需要のカーブが時間によって次々変わるわけですが、それに供給も合わせなければいけないと。

ただこれ、外国の国々をご覧いただくと、きれいに合ってないんですよね。超えちゃったり、下回ったりしているんです。それは国際連携線で余ったら隣国に流し込む、足りないときは自国に引き込むということができるということ。

特に再生可能エネルギーの中心となる風力や太陽光は自分で出る時間をコントロールできません。出るときは出るし、出ないときは出ない。ゆえに面積を稼ごうとすると出るときはどんどん出させてあげたほうがいいのですが、そのときは需要より超えちゃうこともあるんですね。

でもそのときにはドイツやデンマークは国際連携線でEUの中で他の国に流し込んであげるということができるので、量を増やしやすいということがあります。日本は海に囲まれていて国際連携線がないということで、今やっているのは地域間連携線を増やすというふうにやっておりますが、やはりこういった国際連携がしづらいというところも日本の他と比べてビハインドしやすいところだと思います。

今日の一番申し上げたかったところは、再生可能エネルギーの導入をどう進めようとしてきたかというと、集中電源すなわち系統の中に流しこむ電源として増やしていこうという政策が中心でありました。

【集中型電源と分散型電源】

ただ、僕が思うのは、それも大事なんですが、やはり分散型の電源として活用していくという視点が非常に重要だと思います。まず、集中型電源と分散型電源の特徴として、やはり集中電源に向いているものはエネルギー密度が高くて、設備容量が大規模、みんなで使える、そしてイニシャルコストが高いんだけどそのために大規模の需要を用意できて稼働率が上がるもの、こういったものが適当なわけであります。

逆に言うと、分散型で使うには、この逆のようなものが経済性として重要になって来る。あまりでかくて高いと、使いきれないので、エネルギー密度は低いにしても、設備容量は中小規模、イニシャルコストも低い。

これが経済性を出すためのポイントとしては、やはりイニシャルコストが低い中でもさらにこれをどれだけ抑制できるかということと、あるものを使い尽くす需要地近接性を活用したり、セクターカップリングというふうに最近は言うみたいですが、熱とか電力を併給をして使い尽くすということで効率を上げていくしかないということです。

で、再生可能エネルギーとしては実はメガソーラーなんて言っても、一つひとつは小さいパネルでありますので、ポーションとしては意外にけっこう近いところがあると思います。で、もう一つ電源の特徴としては、長所と短所があって、大きい電源としては調整能力は複数電源があるのでバックアップもやりやすいですけれども、短所としては、人口が減っていく中ではどんどん回収できなくなっていく。

一度作っちゃうと40年回収とかになり、あまりフレキシブルにできない。で、分散型電源はいざという時のバックアップには弱いんです。弱いんですけれども、やはり地域の中で最適な規模を作っていけば他から買ってこなくていいという改善効果が非常に大きいということです。

あと、集中電源と分散電源って、これは自家発、自家消費をどんどん進めて分散でやっていけばいいと思うのですが、今、日本全体で自家発比率って10%、でもこれは産業用と家庭用が混ざっての10%、右側が家庭用だけで、電源が電力になりますが1%しかないんですね。

かつ左側の自家発・自家消費は化石燃料による発電が多いんです。だから再エネによる分散型電源というのをどんどん入れていかなければいけないのですが、朗報としては、今、事業用の太陽光の買取価格が、2010年に始めたときは産業用も事業用も住宅用も40円超えているような価格で買っていたわけですが、これが今どんどん下がってきております。

【分散型電源の可能性】

他方で、青い線は電力会社から電気を買うといくらかかるか。これはご覧いただくと、近年の数字がありませんが、クロスしているんですね。すなわち、系統電力から買うよりも、もはや分散型で設置したコストのほうが安いという世界に入ってきていると。

こうなってくると、もはや政策的な無理やりなメリットがなくても分散型にしやすい環境が出てきているということです。系統電源ってキロワットアワー10円なんですよ。そうすると今20円になって来ていて、これはまだ半分にしなきゃいけない。非常にまだ遠いわけですが、分散型電源として、末端価格で考えると17円や24円で十分戦えるという世界になってきている。

まさに分散電源として太陽光というのをどう使うかが重要だし、これはもう先ほどと被りますが、私は岡山市で計算をしてみましたけれども、みなさんの支出の中でエネルギーというのは必ずあるわけで、支出のうち域内の生産に繋がっていないものは岡山市は全体の経済規模が2.6兆円ぐらいある中でマイナス1390億円、外に流れています。

そのうち、エネルギー代金の流出というのが1185億円で、だからほとんどがエネルギーで説明できてしまう。石油石炭製品の大半はガソリンだと思いますが、電気とかガスなんかも加えて、域際収支赤字の85.3%が説明できます。

で、これが域内の精算に繋がって、地域の精算に繋がったら、分配率56.7%掛けたら、684億円の所得に相当するわけです。これが雇用者報酬の4.8%であり、雇用者数で言うと約1万7千人ぐらいに相当するということでありますので、意外にばかにならないと。

また、家庭の支出の内訳、標準家庭の2人以上の家庭ですが、29万ある中で電気代だけで1万1千円かかっているということからすると、先ほど申し上げたように、系統から言うとかなり安い太陽光というものが経済性を出せる、コストを抑えていけるというのが地域の経済循環にもなるという観点からすると、こういったものをご家庭でも取り組んでいただきたいと。

先ほどご紹介いただいたような様々な地域の取り組みをすることによって、地域の中での多層的な取り組みをして、地域創生に繋げるということが非常に重要かなと思います。

あともう一つ、やはり災害にも効くと。今、北海道でもああいうことがありまして取り組みが進んでいるところもありますし、各地域でこういったことを面的に使えるということが大事になってくると思います。最後はスマートコミュニティ事例集みたいなのも作っていったり、検索いただければ出てきますので、ぜひご覧いただいてご一読いただければと思います。

●枝廣さん/ありがとうございました。国の政治、政策のレベルを、どういうふうに考えて作っていて、どういう方向に向かっているのかを直接聞く機会がなかなかないので、今、聞いていただいてよかったなと思います。

もちろんそれぞれの地域とかそれぞれの家庭でできることをやっていくわけですが、しかし日本にいる限り日本の政治、政策の中にあるので、私たちがやりたいと思うことがやりやすくなる政策をたくさん作ってくれればいいし、もしくはやりたいと思うことを政治が全然支援してくれないとしたらやりにくいんですよね。根性論だけでは広がらないので。

休憩のあと、私たちが地域のエネルギーを考えるときに、こういう政策をもっとやってほしいとか、ここがないからやりにくいんだとか、そういうことを含めて田中さんがまたエネ庁へ持って帰ってくれると思うので、意見交換できるかと思います。

一つ私からお伺いしたいのは、例えば家庭で太陽光をするに電力会社に売ることで利益が出ますというのがこれまでのやり方だったけど、必ずしもそうじゃなくても、電力会社から買うよりも自分で発電するほうが安くなれば、売らなくても自家用で発電すればよくて、たぶんそういう方向に向かっていくと思うんですね。

一方、私のお家は南向きなので発電ができる、だけれど隣のお家は北向きなので発電ができない、で隣のお家は電気がほしいと言っている、うちは二人暮らしだから余っている、そんなときにあげられるかっていうとあげられないんですね。

個々の家庭が自立的にやっていくのは一つあると思うんだけれど、街づくりを考えたときに、町内とか地域でお互いに電力を融通して、それで地域全体で足りなかったら電力会社から買えばいいし、地域で余ったら電力会社に売ればいい。

地域に入って来る送電線は1本だけという、そういう形になると、もう少し地域ぐるみでっていう感じになると思うんですけれど、そのあたり日本ではできないと承知しているのですが、どういうふうに考えていらっしゃるのか、何か変えていけるような可能性があるのか、そのへんどうでしょう。

【分散型電源のコスト問題】

●田中さん/まさに分散型の一つの弱点は拠点だけでスタンドアローンでやろうとするとなかなか経済効率性が上がっていかない。一つの例は太陽光を置いて、電気自動車があればそこに溜めて使い尽くすというのもできるのですが、まず電気自動車は高いと。そのために置こうとするとさらに高いと。

その屋根が置ける人と置けない人がいますので、共同利用できれば一番安いよねっていうのがあると思います。今後、利用をしやすいモデルを考えていかなければいけないと思いますし、むしろ私なんかより取り組んでいただいている方が個別の調整とか契約なんかで電力会社に送電線を使わせてもらう。

例えばトヨタ自動車さんが電力会社と相談をしながら基本的には電力会社が持っている線を使うというのは、それなりにお金がかかっているので、そこに流し込んで他に届ける時には託送料金というのをいただかないとなかなか難しいということになります。

ですので平常時は赤い線、自営線と書いてありますけれども、自分で線を引っ張って融通しあうと。トヨタ自動車さんはお金を持っていらっしゃるので、そういうことができると。で、これは何をやっているかというと、災害時に電気が来なくなったときに、電気が来なくなった理由が、例えば系統の電源側の理由であるとすると、配電線を使わせてくれたっていいじゃないかと、どうせ来てないんだから。

で、事故が起きて電気が来ていないとき、トヨタさんが発電したものを役場機能を保てるように送る、電力会社が持っている線も使わせてもらうという契約を結んだりした例です。

これはあくまで平常時ではなくいざというときということになります。ご質問のようなやり取りを自営線でやるとなるとものすごくお金がかかるので、なかなか簡単ではないと思います。

【託送料金について】

じゃあ逆に託送制度を整備して届けられるようにするとなると、結局15円とか20円で経済性があるのはあくまで電源の電気で、その自分たちの電気を託送料金を乗せて使ってしまうと全然安くなくなっちゃうんですよね。

このへんは大きな課題だと思っていまして、新しく地域丸ごと、町を作って住宅地を作ってということであれば、ゼロからであれば自営線もそんなにお金もかからないのですが、既築の場というのは一つ課題だと思います。

託送料金というのは今はどこからどこまで送ろうが距離に関係なく均等ということになっていますけれども、例えば地域のローカルでのサービスをおこなう会社が出てくれば、低圧部分の地域の配電は高圧部分よりはコストがかからないということも、将来はあるかもしれません。が、これはすでに配電線が引き終わった世界の話ですので、これからどうやってそこの融通をやっていくかというのはあろうかなと思います。

それともう一つは、流し込みと引き込みをバーチャルで修正するようにして、託送はしていませんよということでバランシンググループを組むということを電気事業者さんがするということは出てきていますので、活用していきながら最終的には制度を変えていくことも必要になってくるのではないかなと思います。

●枝廣さん/ありがとうございます。あと一つ、防災観点って非常に大事で、例えば平常時にそれぞれのお家で発電をして余ったのを、そのコミュニティの共有の蓄電所みたいなところに入れておいて、非常時にはそこから引き出して使えたらいいなという妄想があるんですけど。

家にソーラー発電があって、蓄電池があってっていう、個々ではなくて、蓄電設備を共有するというか、例えばもう少し電気自動車が使いやすくなれば、先ほど廣本さんのほうであったように、うちで発電して、余ったら電気自動車で溜めといて、ある程度溜まったら共有の蓄電所で溜めるとか、足りない人のお家まで自動運転で行ってそちらで電気をあげるとか。電線を使わなくて済むようになったら、その可能性はあるのかなと。そのあたりどうでしょう。